スティーブンソロ「I Love Trash」が聴きたい!
〈今回のご依頼 from 信者1号@うっちん〉
ネットで曲をこの曲を視聴したんですけど、オモシロイですね。
入ってるアルバムを買おうと思うんですが…。
久々の「By Request」です。
質問者が知り合いだけに「こ〜の忙しい時にな〜にぬかすんじゃ!」と言いたい気もするけど
ご訪問の方が多い時だからこと、サービス精神旺盛に(?)答えてしまいましょう。

エアロスミスとして関わった映画「アルマゲドン」の「アニマル・クラッカーズ」を抜かすと、
スティーブン・タイラーが唯一のソロ名義で発表してる曲のご紹介。
セサミ・ストリートの30周年記念盤、および長編「エルモと毛布の大冒険」サントラに収録。
まずは、その2枚の紹介から。
(2001/11/21)


「スティーブンがとにかく好き好き!」という人は買いましょう。
同じ曲ですが、2種類出てます。
↑エアロスミスのオリジナルアルバムを全部買った人で…ね
これは映画音楽CDとして扱われるため、どのCDショップでも「エアロスミス」のコーナーには置いてない。コメント付きで一緒に置いておけば、売れると思うのだが…。映画サントラコーナーで探しましょう。

スティーブンが歌う「I Love Trash」は1970年に子供番組「セサミストリート」のために書かれた曲。直訳すれば「ゴミが好き!」。いつもゴミ缶に住んでいて、不潔・ゴミ・孤独を愛するオスカーたち、グラウチ(Grouch)族のマペットの歌。

演奏者は不明だが、プロデュースはマーク・ハドソン(アルバム「Just Push Play」の共同製作チーム「ボーンヤード・ボーイズ」の1人)。歌はちょっとラップ調で始まったり、ギターはエアロスミス調でカッコいいし、ほんで子ども向けの歌をスティーブンがメチャ楽しそうに歌ってます。どんな歌でも、やっぱりスティーブン独得の歌い回しなんだな。
Elmopalooza(日本盤未発売)
最初に出たのは、こっちのほう。1998年発売。ここで紹介してから、かなりの人が買ったそうな。
「セサミストリート」放送30周年記念アルバム。番組の中で歌われていた歌(番組オリジナルソング)を、グロリア・エステファン、セリーヌ・ディオン、ケニー・ロギンズ、ジミー・バフェットなどの有名ミュージシャンが歌ったもの。

セリーヌ・ディオンはエルモ、ビッグバードと一緒に歌っているなど、マペットたちとの共演曲もあり(ただし、スティーブンは共演してない)。この30周年記念特番もビデオ化されて発売されているが、こちらもスティーブンは出演していない。

アメリカ盤のみ発売。
Amazonの全曲目表↓
Elmopalooza!
エルモと毛布の大冒険(The Adventure of ELMO in Grouchland)
こちらはエルモ長編特番のサントラで1999年発売。
日本盤も出た(ソニー・SRCS-2312/税込み2520円)。

原題を見るとわかる通り、グラウチ(文句ばかり言う人、不機嫌な人)の国に、エルモが行くというお話。日本でもビデオ発売前に単館ロードショー公開された長編版。

という物語なので、グラウチのテーマソング的な「I Love Trash」が再収録。バージョンは上の「Elmopalooza」とまったく同じ。
私は、出た順番に両方買ってしまいましたが、どっちか1枚あればいいです。
輸入盤ショップが近くになければ、近くのCDショップで日本盤の「エルモと毛布の大冒険」を取り寄せてもらえばいいし、タワーレコード渋谷、HMV渋谷級の大型ショップが近くにあるなら、輸入盤でもいいと思います。

「2枚のうち、どっちがいいか?」というと、僕は参加者が僕の好み+楽しい曲が詰まっているってことから「Elmopalooza」をお薦め。全編楽しく聴けます。
通販したい人は、配送料無料のAmazon.co.jpをお薦めします。上のリンクからどうぞ。

なお以前、海外通販にCD NOWを推薦していましたが、その後で今年9月に日本撤退(CD NOWジャパン閉鎖)や、アメリカ本国サイトの日本語サポート中止などが行われています。僕自身、商品が届かないトラブルがあって、最終的には送ってもらえるものの45日以上待たされることが2回続いたので、CD NOWの推薦は取り下げます。



BOX OF FIREとリマスター
〈今回のご依頼 from ERI〉
今回は来日前の予習に、一気にオフィシャルアルバムを集めてしまおうというご相談なんだけど、
「BOX OF FIREで一気に買ってしまうのがよいか?ということです。1996年にリマスターされたものですよね」
Young Lustと一緒に、ゲフィン時代のリマスター盤3枚が出て、最近話題のリマスター。
今回は、BOX OF FIREの中身と、リマスターについて、ちょいと説明してみよう。
(2001/12/04)

SONY/Columbiaのリマスター盤は、世界共通マスターです。
日本の赤帯も、Box Of Fireも、新品は基本的に同じ音源。
今、新品で売ってる初期のアルバム(下のBox Of Fireに入ってる12枚)は、1992-1993年ごろに「監修:Don DeVito、デジタル・マスタリングエンジニア:Vic Anesini」のチームが作ったマスターテープを使っています。日本盤でもアメリカ盤でもヨーロッパ盤でも、基本的に音質・内容全部同じです。
このチームは、1991年11月発売の3枚組「パンドラの箱」と、1993年に12枚のアルバム全部再発売を手がけてました。1991-1993年にわたるプロジェクトですが、作ったリマスターテープは基本的に1本で同じものです(いま売ってる日本盤は1996年の再発売ですが、使ってるリマスターテープは1993年版。Box Of Fireも同じ)。

アメリカ盤と日本盤の違いは、日本盤には歌詞・訳詞がついてること。だけど日本盤の訳詞は、最初にLPで出たときのものを流用してます。一番古いGet Your Wings/飛べ!エアロスミスは1975年の翻訳。当時はスラング、アメリカ的表現が日本で解読不能、意訳しすぎで現在の視点から言うとちょっとピンボケになってる訳詞も少なくありません。なにしろBack In The Saddleは、あの「見ろよ、馬乗り、もう一度」だからね。当時はそれでよかったけど、今は翻訳しなおしてほしいぞ。

バラで買って日本盤税込み19200円。アマゾンでBox Of Fireを買って税込み14000円前後。お好きなほうをお買いください。Box Of Fireには、豪華な箱と、5曲入りボーナスディスクがついてます。
Box Of Fire(日本盤未発売)
正面からみる、こんな感じね。
中身は以下の12枚+ボーナスディスク
  1. Aerosmith
  2. Get Your Wings
  3. Toys In The Attic
  4. Rocks
  5. Draw The line
  6. Live! Bootleg
  7. Night In The Ruts
  8. Rock In A Hard Place
  9. Classics Live
  10. Classics Live II
  11. Greatest Hits
  12. Gems
ボーナスディスク曲目
  1. Sweet Emotion (1991)
  2. Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu
  3. Subway
  4. Circle Jerk
  5. Dream On (MTV Anniversary)
Amazonの全曲目表+購入ガイド↓
Box of Fire

あけるとこうなる。実はCD1枚1枚の背表紙にも仕掛けがあって、12枚揃うと^A^ウィングが完成。
エアロスミスは1980年代中期は人気が低迷していた。LPに変わるCDというメディアは1982年に開発・発表されたんだけど、CDの出始めの時代にはエアロスミスの人気が盛り下がってたもんだから、CD化も後回しにされてたわけよ。

1980年代後半になってCDプレーヤーが普及して需要拡大、そしてエアロスミスも人気復活で古い1970年代の作品がCD化され始めたころには、世界各国で音質が違うCDが次々と出てしまったわけだ。

それを統一したのが、現在発売されている「監修:Don DeVito、デジタル・マスタリングエンジニア:Vic Anesini」のチームによる世界共通のマスターテープ。これが現在SONYから発売されている12枚なわけだ。

リマスターについては以前、技術的に解説したら「わかんなかった」といろんな人に言われたので、少々あいまいになるけど簡単な書き方で説明しよう。

リマスターの目的は、音質をよくする…というのもあるけど、もう1つには世界共通マスターを作る(どこの国のCDを買っても同じ音)という意味もあるのだな。

「CD」が開発されて間もないころは、アメリカ、ヨーロッパ、日本の旧譜CDは、全部音質が違った。
アメリカは刺激的に高音シャキシャキで元気がいいんだけど、LPと聴き比べると全然雰囲気の違う音。イギリスはちょっと解像度が悪い、左右の分離が悪いんだけど、LPとよく似てる音。日本は両方の長所をとって可もなく不可もなく…みたいな。混乱状態にあったわけだ。

理由はLP時代のマスターテープを使って、各国独自にマスタリングしてCDを作っていたから。マスタリングする技術者の感性の違いで大きな差ができてた。
また古いLP時代に作ったマスターテープではCD本来の高音質にはならない…ということから、1990年ごろにアンソロジー(箱入り3〜4枚組の大全集)が流行したときに、レコード会社の倉庫の奥、またはアーチスト本人が保管してるオリジナルテープから、一番いい状態で世界共通CD用のマスターテープを作ることが盛んに行われた。

Led Zeppelinのジミー・ペイジのように、アーチスト本人がマスタリングを監修するケースも積極的になってきた。「俺の作った音は、スタジオで意図した音はこういう音だったんだ」と、マスタリングで主張しているわけ。これは本人が決定版を作ってるわけだから、その後で再マスタリングされることは少なくて、何度も買わなくて済むからファンにはありがたい(ジミーちゃんは、その後ベスト盤攻勢をかけてきたが)。

中にはビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」というアルバムのように、再発される度にマスタリングがやり直されて、もう4種類以上微妙な違いが出てるCDさえ存在する。こういうのはマニア泣かせ。

エアロスミスの場合は、Box Of Fireに入っているSONY/Columbiaレーベルの12枚のアルバムは、「監修:Don DeVito、デジタル・マスタリングエンジニア:Vic Anesini」のテープを使っているので、新品ならば世界のどこのCDでも同じ音がするはず。アメリカ盤でもヨーロッパ盤でも、日本のSONYが売ってる赤帯1600円CDでも、元は同じ。どれを買っても音質もバージョンも同じなのである。

オーディオマニア的な視点から、工場の違いとか、時々限定発売されるゴールド盤で音質は微妙に変わる…というご意見も、もちろんあるでしょう。さすがに私はそこまで追求していませんので、お答えしかねます。

注)リマスター以前のCDで、Draw The Lineに多少の違い・混乱があるという話は、2000年版夏季講座第9章参照。Live Bootlegも初期盤には違いがあります。




Copyright : Akira 1999-2001