Roar of The Dragon Japan tour 1999-2000
Cross Review
2000/01/04 : Fukuoka Dome

エアロスミス福岡ドーム公演:1月4日
  〜ライヴレビュー(もどき)〜
text by moomin

西暦2000年1月4日、福岡快晴!
お正月ムードもどこへやらの福岡ドームは、午前中から九州一円各地より
やってくる車が続々と入ってきていた。
各地方のナンバーを見る度に、「来たよ!」という意気込みを強く感じた。
Boysが日本で2000年を迎えてくれるだけでも幸せなのに、福岡が
その一つに入っているのだから、メンバーには素直にありがとうを伝えたい。

開演1時間前に無事入場。アリーナ内飲食禁止とのことで、
外でホットドックを食す。アリーナ席に付くと床はコンクリート。
少し冷やっとしたので持っていたコートを羽織った。
会場を見渡すがまだまだ人は少ない。ルーズな土地柄(こう書くと
反感買うかな?)なので、きっとギリギリでも人は集まらないだろうなぁ
と思っていたら案の定だった(終演までにはそこそこ埋まっているようだったけれど)。
昨年のナイン・ライヴス・ツアーの時よりも、観客の入りは少ないようだった。
29日に満席の大阪ドームを観ていたせいか、スタンド席がぼこぼこと
ブロック状に席が空いていたので、メンバー達が機嫌を損ねて早めに
切り上げてしまうのではないだろうか?などと要らぬ心配をしてしまったりして・・・。
しかし、そんな心配も始まってしまえば関係なく、どこかに吹っ飛んでいった。
盛り上がるしかないのである。


さて、午後6時開演予定は予定通りに遅れ、会場が暗転したのは
6時20分ごろだろうか。終演はアンコールも含めて午後8時10分ごろ
だったので、約1時間50分という比較的に短いショーだったのにもかかわらず、
内容的には満足のいくものだった。

”Eat The Rich ”の「ズカタカ!」が始まると、一斉に歓声が沸き上がる。厚めの
お化粧は大阪(29日)と変わらずだったが、お2本のリボンをしっぽのように付け
て、全身ピンクのお衣装のスティーブンの顔がスクリーンにドアップとなると周りは
「ギャー!」と奇声をあげていたが、そんな姿にも愛らしいと思ってしまったのは、
ファン歴あるがゆえのことだろうか。ふとジョーを見ると、紫のシャツに黒のスーツ
姿にサングラス。カッコいい!しばらく、曲の流れに任せて盛り上がっていると、こ
の2人の絡みが多いことに気が付く。時には間奏中にこそこそ話をしたり、笑ったり
している姿が見られる。些細な光景だが、これを見るとエアロスミスがこれからも普
遍的なバンドであることを確認できるような気がして・・・嬉しくなるのは私だけで
はないはず。

ただ、絡みが多いのはスティーブンとジョーの間だけではなかった。
スティーブンはブラッドとも長く2ショットを決めていたし、”Rag Doll”プレイ時には、
回るドラムライザーに乗っかり、フルコーラスをジョーイの側で歌い続けた。
そこでのスティーブンは時々ジョーイにマイクを向けるが、ジョーイは照れているのか
本当に歌いたくないのか、微笑みながら口こそ動いているものの、声は客席まで
届かなかった。”Janie's Got A Gun”までは通常の流れでセットリストは続く。

さぁ、この次何が来る?と思ったときに、やっと初登場!の「ロックス」からのナンバー
”Lick And A Promise”が流れたものだから、思わず暴れてしまった。
一瞬の周囲の反応ははっきり言って「割れた」という印象。だが、曲そのものは
良いからなのか、次第に知っているか否かということ関係なくみんなノッていたような気がする。

続く”Big Ten Inch Record”も個人的には好きな曲なので、フルでの演奏は嬉しかった。
次の一瞬、スティーブンがピンクの帽子(しかもピカピカのラメ入り)を頭上に掲げ、
ピンクの縁取りサングラスをかけると、スゴイ歓声が湧き起こった。曲が始まり、
ステージ全部がピンクの光で覆われた時はその勢いは最高潮となる。
”Pink”が人気のある曲なのだと実感。
そして・・・。大阪でも観ていたが、あのイントロ”Let The Music Do The Talking ”である。
意外にも、ここ福岡では思ったよりもこの曲への反応は大きかった。
どうせならこのまま”Draw The Line”へと願ったのだが、やっぱり叶わずそのまま終了。
続き、スティーブンの「Mr. Joe Perry!」の紹介でジョーがステージ中央にスッと登場。
”Stop Messin' Round”か ?と思ったら何と”Red House”。とってもご機嫌の様子のジョーに、
観客も上機嫌でどんどん盛り上げていく。
ここで、何よりも驚いたのが、ブラッドがかなり魅せてくれたことである。ソロ・パートを顔を歪ませて弾く
ブラッドは、ステージを動き回るということこそ少ないが、彼の存在はやっぱり大きい。
「ゲット・ア・グリップ」ツアーの時に、ブラッドのいないステージを観ているだけに、
そのことを強く感じさせられる瞬間だった。

そして、前3公演はジョー・コーナーが1曲だったので、これで終わりかと思ったところ、
ジョー本人から”Stop Messin' Round”であることの曲紹介がありプレイされた。
ジョーが喋った!それだけでも大興奮である。気が付くとスティーブンは
ハーモニカを持っている。上手い下手というのは正直なところよく判らないが、
この曲をプレイするときの雰囲気は大好きだ。しかも、スクリーンに映し出された
ハーモニカを吹くスティーブンの左手には、何故かよくバナナに貼ってあるあの
青いシールが・・・(もしや、持久力を付けるために食べたのかしら?)。そして、
そのままの流れで”Mother Popcorn”へ。この曲もなじみが薄いようだった。
「えっ、何?」という顔をしている人は多かったが、お決まりのシャウトは圧巻で、
顔をくしゃくしゃにして叫ぶスティーブンには惜しみない歓声と拍手が浴びせられた。
そして ”Walk This Way”。パターン化されてしまった感こそあるものの、
サビでは大合唱。そして、スティーブンの合図で会場を静かにさせると、
流れるは”I Don't WantTo Miss A Thing”。

大阪ではスクリーンに映画「アルマゲドン」のダイジェストが映っていたが、福岡
は妙なブルーのバックに星がきらきらしているような映像が出た後は、他の曲と
同じくメンバーの様子をライヴで映していた。「アルマゲドン」に思い入れのある人
にとっては、映画の映像を流した方が演出としては効果的なのだろうけど、
極個人的にはなくてもいいと思っていたので(ファンのくせにまだ映画を観ていない
せいかも・・・。)、これは正解!そして、”Cryin'”である。またスクリーン絡みだが、
この日は映像と音が少し(と言うかかなり)ズレていた。ビデオクリップの方が
とても早く終わってしまったのが、面白かった。まぁ、逆じゃなくてよかったけどね。
さてさて、クールダウンタイムはここまでで、ここ数年の本編最後の曲”Dude”が・・・。

そして、あららこれで終わりかと思っていたら、”Mama Kin”が登場。
”Dude”が嫌いなわけではないけれど、こっちの方が最後らしいなんて思ってみたりして。
この曲のスティーブンは声にもハリがあったし、どことなく力が入っていたような
気がした。で、あっさりと挨拶をして5人はステージを後にするのだった。
 
さぁ、ここからが勝負! アンコールを誘引する拍手と歓声が湧く。
垂れ幕の内側からは薄いピンクの明かりが灯る。思ったよりも長い時間じらして
(5分ぐらいはあったような気がする)ステージ上部のライトがピカッと
光ったのを見逃さなかった観客は一斉に立ち上がり、更に大きな歓声が渦を巻いた。
そして次の瞬間、垂れ幕はそのままで”Train Kept A Rollin'”のイントロが流れ、
歌い出しの瞬間に垂れ幕が落ちてメンバーが姿を現した。 ジョーはふわふわの
黒のジャケットを着ている(暑そうだなぁと思ったのもつかの間、次の曲では
タンクトップ1枚に変わっていたけど)。スティーブンが会場を煽り、
スタンドマイクを観客に突きつけ「Train Kept A Rollin'・・・」を歌わせる。
その目一杯なパフォーマンスに、観客が付いてこないわけがない。
届けとばかりに大声を張り上げてしまった。
その場に居合わせた者はみんなそんな気持ちだったに違いない。
終了したところでスティーブンがトムを紹介。ステージ中央少し後ろで初めの
ベースラインを弾く。”Sweet Emotion”であることは確認できた。
ジョーのトーキングモジュレーターの「ぼわぁん」という音で、ようやく周囲は何の
曲かを把握。そして、ここでもスティーブンの容赦ない会場煽りが行われる。今ま
で、この曲は最後の曲には不向きではないだろうかとも思っていたが、
この日に限ってはこの煽りが効いたのか、かなりテンションの高い”Sweet Emotion”
だったような気がする。終わりにジョーがアンプの方へ下がって行きボリュームを
落としていくのを観て、誰もがこれでおしまいと思っただろう。

だがしかし、終わらなかったのである。「ズンタン!タラッタ、タラララァ〜」が
聞こえた瞬間、我が耳を疑った。しかし、間違いない”SOS(too bad)”だ。
正直なところ、この曲だと確認できた時点で思考回路はどこかへフッ飛んでしまった。
とにかく、今自分はスゴイ瞬間にいるのだということを体全体で感じずには
いられなかった。大阪で”Let's〜”を聴いたときも鳥肌ものだったけれど、
この曲は先ず「ない」と思っていたから余計に感動だった。やはり、観客の反応は
知っている人とそうでない人では極端に別れた感じではあったものの、
そんなことはこの際どうでもよかった。楽しもう! それだけを考えてステージに向け
て声をあげ続けたのである。最後の最後まで、ステージ上のメンバーが楽しそうに
していたのが印象的だった。

全てが終了し、去っていくメンバーには惜しみない拍手と歓声が贈られた。
本当に個人レベルでの話で欲を言えば、もう2曲ぐらいは聴きたかったし、
前半のセットリストにしてももう少し変えても良かったんじゃないかとか、いろいろと
考えるところはあるのだけれども、「〜かと思っていたら」が沢山あったのは嬉しい限りだった。
あの日としては、充分定説をくつがえすライヴになったのではないだろうか。
開始前に着ていたコートは始まる前に脱いでいたし、その下に着ていたジャケットは
3曲目で脱ぎ捨てた。この日のためにと作ったお手製マフラーも6曲目には振りほどき、
長袖Tシャツ1枚(しかも、結構薄い)でハジけた時間は、私にとって忘れ得ない貴重な時である。
帰宅した後も翌日午前4時過ぎまで眠ることができなかった。

最後に、よく新しいファンを否定的に考える人がいるけれど、それは違うと思う。
私自身が開拓されたファンだったように、新しいファンを開拓し続けてきたからこ
そ、彼らは今でも変わらずエアロスミスなのだ。
そういった意味ではもっとたくさんの人にこのステージを観て欲しかった。
きっかけなんてどうでもいい。”I Don't Want To Miss A Thing”だけを
聴きに来た人のなかから、もっと彼らのことを知りたいと思う人が
少しでもいてくれれば、またBoysはやってきてくれるはずである。

エアロスミス大好き!結局はそれだけでいいのだ。

text by moomin (2000/01/06)

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